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AIでExcelの売上データを分析|2,030件のデータから経営課題を見つけるツールを作ってみた

「売上データはExcelに入っている。でも、毎月の売上を確認するだけになっている」

「数字は見ているつもりだけれど、本当に見るべき変化を見落としているかもしれない」

中小企業や小規模事業者では、データ自体は持っていても、それを経営判断に使えるところまで分析するのは簡単ではありません。

そこで今回は、Excelの売上データを読み込み、売上推移や再来率、担当者別の客単価などを自動で整理する売上分析ツールを実際に作ってみました。

2,030件の架空データを使って検証したところ、一見すると順調に伸びている売上の裏側から、再来率や集客経路に関する確認すべきポイントも見えてきました。

この記事について
今回使用している企業・顧客・売上データは、AI活用を検証するために作成した架空データです。実在企業への導入実績ではありません。数値は、作成した2,030件の架空データを実際にツールで分析した結果を掲載しています。

Excelに売上データはある。でも「次に何をすればいいか」が分からない

今回想定した課題は、とてもシンプルです。

売上や顧客データは蓄積されているものの、どう分析すればいいのか分からない。

あるいは、自分で売上を確認していても、重要な変化を見落としている可能性がある、という状態です。

Excelを開けば、今月の売上や顧客数は確認できます。

しかし、経営改善につなげるには「売上はいくらだったか」だけでは十分ではありません。

例えば、売上が増えていたとしても、新規顧客がリピーターになっていなければ、将来的には集客を続けなければ売上を維持できなくなる可能性があります。

流入経路ごとの顧客数だけでなく、その後どれくらい再来しているかを見ると、集客施策に対する評価が変わることもあります。

今回やりたかったのは、「Excelを集計すること」だけではありません。

経営者が次に確認した方がよいポイントまで、データから見つけやすくすることを目標にしました。

そこで、Excelを読み込んで分析する売上分析ツールを作った

今回想定した架空の美容室

検証用として、札幌市内にある小規模美容室を想定した架空データを作成しました。

項目 今回の設定
業種 美容室
店舗数 1店舗
スタッフ 4名
分析期間 12か月
データ件数 2,030件
主なデータ 来店日、顧客ID、新規・既存、担当者、メニュー、流入経路、売上、来店時間など
AI売上分析ツールの検証に使用した2,030件の架空売上Excelデータ

実際の業務で使われていそうな形式を想定し、来店履歴・売上・担当者・流入経路などをExcelにまとめました。

ツールでできること

作成したツールでは、Excelファイルを読み込むと、主に次の項目を整理・分析します。

  • 総売上
  • 月次売上推移
  • 来店数
  • 平均客単価
  • 担当者別の売上・平均客単価
  • 流入経路別の来店状況
  • 顧客IDを使った再来率
  • 獲得月ごとの再来率
  • 曜日・時間帯別の来店状況
  • 数字から確認した方がよいポイントの抽出
  • 次に検討する施策案の整理
Excelファイルをアップロードして売上データを分析するlalakohalaの検証用ツール

また、会社によってExcelの列名が違うことを想定し、「日付」「売上」「顧客ID」「担当者」などの列を自動で推測する仕組みも入れました。

自動判定が合わない場合は、画面から使用する列を指定できます。

2,030件の売上データを実際に分析してみた

ここからは、今回作った架空データをツールに読み込ませた結果です。

売上は伸びている。一見すると順調

まず売上を見ると、直近期間の月平均売上は大きく伸びていました。

項目 過去期間 直近期間
月平均売上 約108万円 約166万円
変化 約54.0%増加

この数字だけを確認すれば、「売上は順調に伸びている」と判断してしまうかもしれません。

一方で90日以内の再来率は低下

次に、新しく来店した顧客が90日以内にもう一度来店しているかを、獲得した月ごとに比較しました。

すると、過去の顧客群では45.5%だった90日以内再来率が、直近の顧客群では34.5%まで低下していました。

売上は約54%増えているのに、新しく獲得した顧客の再来率は11.0ポイント低下していました。

売上だけを確認していた場合には、見落とす可能性がある変化です。

もちろん、この数字だけで「売上が今後必ず下がる」と判断することはできません。

ただし、今後確認した方がよい経営指標として、再来率を優先候補にできるようになります。

HotPepper経由の再来率にも変化

流入経路別にも確認すると、HotPepper経由の顧客について変化が見つかりました。

今回の架空データでは、90日以内再来率が過去47.8%から直近28.3%へ低下しています。

差は19.5ポイントです。

ここで重要なのは、「HotPepperが悪い」とAIが判断することではありません。

見るべきなのは、集客人数だけで評価していた施策を、再来率やその後の売上まで含めて確認した方がよいのではないか、という点です。

ツールから出した次の確認候補

媒体ごとの新規顧客数だけでなく、獲得月別の再来率やLTVまで含めて集客施策を評価する。

担当スタッフ別では客単価にも差があった

担当者別に平均客単価を比較すると、今回の架空データでは高橋さんが6,754円、担当者全体の中央値が8,424円でした。

中央値と比較すると約19.8%低い結果です。

AI売上分析ツールで可視化した月次売上と再来率などの分析結果

ただし、これだけで「高橋さんの営業力が低い」と判断してはいけません。

担当しているメニュー、新規・既存顧客の割合、値引き、追加メニューの提案状況など、別の要因が影響している可能性があります。

そこでツールでは、結論を断定するのではなく、次に確認する候補として「提案メニュー・追加提案率・値引き・担当メニュー構成を比較する」という方向性を表示するようにしました。

売上データから自動検出された再来率や流入経路に関する経営課題

今回のツールをどう作ったのか

今回の制作ではChatGPTを使いながら、分析項目の設計、プログラム作成、動作確認、修正を進めました。

ただし、「ExcelをAIにそのまま渡して、全部考えてもらう」という作り方にはしていません。

  1. 何を分析するか決める

    まず、売上・来店数・客単価・再来率・担当者・流入経路など、経営判断につながりそうな項目を整理しました。

  2. Excelのデータをプログラムで集計する

    売上金額や再来率など、正確さが必要な数値はプログラムで計算します。

  3. 異常や変化を一定のルールで抽出する

    直近と過去を比較し、大きな変化がある指標を「確認した方がよい項目」として表示します。

  4. グラフで可視化する

    月次売上、担当者別客単価、獲得月別再来率、曜日・時間帯などを、画面上で確認できるようにしました。

  5. 次に確認することを整理する

    数字の変化から、追加で確認したい情報や検討できる施策を整理します。

Excelの売上データから分析と改善案作成までのAI活用フロー

数字そのものをAIの文章生成だけに任せないことも、今回重視したポイントです。

計算はプログラムで行い、その結果をもとに「何を見るべきか」を整理する方が、業務で使いやすいと考えました。

実際に作って分かった、AIが得意なこと・人が判断すべきこと

AIは「見るべき場所を絞る」のに使いやすい

2,030件のデータを眺めて、人が最初からすべての組み合わせを確認するのは大変です。

今回のように、売上だけでなく、再来率・流入経路・スタッフ・時間帯など複数の視点からデータを見る仕組みを作ると、「ここを詳しく見た方がよさそう」という候補を絞りやすくなります。

AIやデータ分析は、人の代わりに経営判断をするというより、判断するための材料を見つけやすくする使い方と相性がよいと感じました。

数字だけで原因を断定しない

例えば再来率が下がっていたとしても、原因が接客なのか、価格なのか、集客媒体なのかは、売上データだけでは分かりません。

客単価が低いスタッフについても、担当している顧客やメニューが違えば単純比較はできません。

AIが見つけた数字を「答え」とするのではなく、現場を知っている人と一緒に理由を確認する必要があります。

lalakohalaが大切にしている考え方

まず80点まで仕事を理解する。そこから、現場を一番理解している人と一緒に120点の仕事をつくる。

今回のデータ分析でも、AIだけで結論を出すのではなく、データと現場の両方を見ることが重要だと考えています。

AIでコードを書いても、動作確認は必要だった

今回のツール制作では、最初からすべてが問題なく動いたわけではありません。

初期版では、開発に使用したライブラリと実際に起動するMacのPythonバージョンが合わず、アプリを起動できませんでした。

次のバージョンでも、画面を作るためのライブラリ同士の互換性でエラーが発生しました。

最終的には構成をより単純にし、Python標準のローカルWebサーバーを使う形に変更。起動前にサンプルデータを読み込み、分析処理とWeb画面が正常に動くか確認するテストも追加しました。

ChatGPTはコード作成や原因の切り分けに役立ちますが、「AIがコードを書いた=そのまま業務で使える」ではありません。実際の環境で動かし、エラーを確認しながら修正する工程は必要です。

中小企業のAI活用は、すでに持っているデータから始められる

AI活用というと、新しい大規模システムを導入するイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし今回使ったものは、もともと会社にありそうなExcelの売上データです。

同じ考え方は、美容室以外にも応用できます。

持っているデータ 考えられる分析
売上データ 売上推移、商品別・担当者別・顧客別分析
顧客データ 再来率、購入頻度、休眠顧客の確認
広告データ 媒体別CPA、CVR、時間帯・デバイス分析
問い合わせ履歴 問い合わせ内容の分類、よくある質問の抽出
アンケート 自由記述の分類、要望・不満の整理
在庫データ 売れ筋、滞留在庫、発注判断の補助

「AIを導入するなら何を買えばいいか」から考える必要はありません。

今どんなデータがあり、どんな判断や作業に時間がかかっているのか。

そこからAIの使い方を考える方法もあります。

今回の検証結果まとめ

今回、2,030件の架空売上データを使って、Excelから売上や顧客データを分析するツールを制作しました。

検証では、月平均売上が約54%増えている一方で、直近顧客の90日以内再来率が45.5%から34.5%へ低下していることを検出しました。

さらに、HotPepper経由の再来率の変化や、担当者別の平均客単価の差なども確認できました。

これらは実際の企業で得られた成果ではなく、架空データを使った検証結果です。

一方で、「すでに会社にあるExcelを使い、見るべき数字を整理し、次の確認ポイントまで出す」という仕組み自体は、さまざまな業務へ応用できます。

AI活用は、AIを使うことから考えるのではなく、今の仕事の中にある困りごとから考える。

今回の制作を通して、改めてその重要性を感じました。

よくある質問

自社のExcelでも同じように分析できますか?

データの内容によります。日付・売上・顧客ID・担当者・商品やサービスなどの情報があれば、分析できる項目を増やせる可能性があります。まずは現在どんなデータを保存しているか確認するところから始めます。

Excelがきれいに整理されていなくても大丈夫ですか?

すぐに分析できない場合もあります。その場合は、列名や入力形式を整理したり、分析用のデータに変換したりする工程から検討します。最初から完璧なデータである必要はありません。

AIが出した分析結果をそのまま経営判断に使えますか?

そのまま判断することはおすすめしません。AIやツールは変化や確認候補を見つけるために使い、原因については現場の状況や他のデータと合わせて人が判断することが重要です。

売上以外のデータでも分析できますか?

可能です。広告、問い合わせ、アンケート、在庫、顧客、勤怠など、業務の中に蓄積されているデータから活用方法を考えられます。何を分析するかは会社の課題によって変わります。

自社でAIをどう活用できるか、一緒に考えてみませんか?

「Excelはたくさんあるけれど、活用できていない」「数字を見ても何を改善すればいいか分からない」という段階でも大丈夫です。

lalakohalaでは、まず現在の仕事やデータを確認し、AIや自動化を使えそうな部分を一緒に整理します。

大きなシステムを導入する前に、今ある業務の中から始められることを探してみましょう。

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